効率的な水分補給
- 熱中症
- 2017年06月14日 (水)
一般的に、人は1日約2.5Lを体内から失います(尿:約1,500ml、 不感蒸泄※:約900ml、便:約100ml)。夏場は汗をかく分、意識して水分の摂取を心がける必要があります。
※ 呼気や皮膚から失われる水分
水分補給として一度に大量の水を摂取すると、かえって体内の電解質バランスを崩して体調不良を引き起こしてしまいます。飲む量は、か いた汗の量を目安にし、汗で失われる塩分(ナトリウム)もきちんと補給しましょう。
水だけじゃダメ?汗をかいたら塩分(ナトリウム)も補給
大量に汗をかいた時には、発汗量に見合った量の水を飲めないことが昔から知られており、これを「自発的脱水」と呼んでいます。この「自発的脱水」とは、水だけを飲むと 血液のナトリウム濃度が下がり、水が飲めなくなってしまう状態であることが明らかになってきました。
私たちの身体には、ほぼ0.9%のナトリウムを含んだ血液が循環しています。また汗をかいた肌をなめると塩辛い味がすることからわかるように、汗にはナトリウムが含まれています。大量に汗をかいてナトリウムが失われたとき、水だけを飲むと血液のナトリウム濃度が薄まり、これ以上ナトリウム濃度を下げないために水を飲む気持ちがなくなります。同時に余分な水分を尿として排泄します。この状態になると汗をかく前の体液の量を回復できなくなり、運動能力が低下し、体温が上昇して、熱中症の原因となるわけです。
気をつけたい「自発的脱水」
自発的脱水とは
脱水時に水だけを飲んだ際、体液のナトリウム濃度が低下し、のどの渇きが止まるために飲水行動が停止すること。このとき身体は体液の塩分濃度を戻そうとして、尿で水分を排泄させようとします(水利尿)。
塩分(ナトリウム)と糖分を含んだ水分補給が効率的
熱中症予防の水分補給として、日本体育協会では、0.1~0.2%の食塩(ナトリウム40~80mg/100ml )と糖質を含んだ飲料を推奨しています。特に1時間以上運動をする時は4~8%の糖質を含んだものを摂取しましょう。冷えたイオン飲料や経口補水液の利用が手軽ですが、自分で調製するには1リットルの水、ティースプーン半分の食塩(2g)と角砂糖を好みに応じて数個溶かしてつくることもできます。
長時間運動を続ける場合には、ナトリウム濃度をやや高くすることが必要です。トライアスロンなど長時間の運動では、血液のナトリウム濃度が低下して、熱けいれんが起こることが報告されています。
また、糖を含んだ飲料が推奨される理由としては、腸管での水分吸収を促進することが挙げられます。主要な糖であるブドウ糖は、腸管内でナトリウムが同時にあると速やかに吸収されます。そしてそれらに引っ張られ水分も吸収されるというのがそのメカニズムです。
- スポーツ障害と貧血 | 次の記事 →
- ← 前の記事 | 5月28日で開業5周年!!
同じカテゴリ(熱中症)の新着記事
-
熱中症になったらどうすればいい?
熱中症の応急処置(熱中症になったら) 熱中症を疑う症状がある場合、熱中症になってしまった場合、応急処置が必要となります。 1 避難・救急車の呼び出し 涼しい環境・・・ 続きを見る >
2017年07月19日 (水)