スポーツ障害と貧血
- 貧血
- 2017年06月15日 (木)
貧血とは、血液中の赤血球数の減少が生じる、あるいはヘモグロビン量が低下した状態をいいます。
(症状)
初期にはめまい、立ちくらみが多く、貧血が進行していくと動悸、息切れ、頭重感、易 疲労感、顔面蒼白となり、さらに進行すると浮腫、心不全状態にまでなってしまいます。
(原因1として)
我々が対応するスポーツ選手に多い運動性貧血(激しい運動により赤血球の破壊が進み、 赤血球が不足する状態)は鉄欠乏性貧血に入ります。
これは、食事で十分に鉄が補えていないことが主な原因ですが、スポーツ選手では発汗とともに鉄が失われることで起こることが多いです。
(原因2として)
運動中に足底部を何回も打ち付けるような競技(マラソン・バスケットボール・バレーボール・剣道など)などの選手に多くみられます。
足底部へ衝撃が何回も加わると、足底部に存在している血管内の赤血球が破壊され、尿などから体外へ排出されます。これによって貧血に陥ってしまいます。
(ケガと貧血)
整形外科的な疾患であっても内科的な疾患が影響している場合があります。
① 例として
慢性的な疾患(シンスプリントや長期の疲労感、コンディション不良など)で、経過が改善されにくい時、貧血検査を受けてもらうことがあります。
このケースは女子選手に多いですが、検査の結果貧血の場合、貧血を改善することによってケガの問題が改善されていきます。
② 貧血を改善することで、どうしてケガから改善されるのか?
血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンは、肺から呼吸による新鮮な酸素を取り込んで各組織・筋肉へ酸素を運搬しています。したがって、貧血によってヘモグ ロビンが減少するということは、身体中は低酸素の状態となります。この状態で運動をすれば、酸素が十分でないために動悸が起き、血流が減少し血行不良とな ります。このために疲労感が長期間続くなど、慢性的な疾患が完治されにくい状態になることがあるのです。
貧血を改善することによってケガからの回復が促されていく場合があります。
全てではありませんが、こういう見方をすることもスポーツ選手をサポートする上では必要です。なぜなら、スポーツ選手の問題は、ケガの患部だけでなく、患部外・内科的・栄養・休養・練習環境など、様々な角度からアプローチしていくことが大切だからです。
このことから、スポーツ選手は貧血検査を受ける必要があるでしょう。また、一般の人が貧血症状とならないヘモグロビン数値でも、スポーツ選手であれば貧血症状が出ることがあります。なぜなら、スポーツ選手は運動強度が高いため、酸素を多く必要とするからです。
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